● サンティアゴ巡礼の道って?
スペイン北西部に位置するキリスト教三大聖地の一つサンティアゴ・デ・コンポステーラ。サンティアゴを目指すサンティアゴ巡礼の道は、日本を代表する参詣道の熊野古道と姉妹提携を結び、世界遺産に登録されている巡礼路。中世の時代から、ヨーロッパ各地を起点に多くの巡礼者がサンティアゴまでの道のりを歩いてきました。今ではヨーロッパ最古の文化路と呼ばれ、ヨーロッパの大通りとも例えられるほどです。ロマネスク教会がたたずむ素朴な村々と自然景観、地元の人々や各国の巡礼者とのふれあいは、まさに巡礼者だけが味わえる醍醐味。
● 巡礼の起点って?
スタート地点は決まっておらず、どこからでも始められます。複数あるルートのなかでも、アルベルゲ(巡礼者専用宿泊施設)や黄矢印の道しるべなどの整備が進み、本ルートと呼ばれているのが、フランスルート。フランスとの国境、ピレネー山麓のロンセスバイェス(Roncesvalles)またはハカ(Jaca)を起点に、サンティアゴまで約800kmの長い道のりです。次に人気があるのが、バスク地方を通り北沿岸部を歩く北ルート。そのほか、銀の道ルートや ポルトガルルートなど、複数のルートがあります。
● 巡礼手帳と巡礼証明書
巡礼者は、各町の巡礼事務所や教会、アルベルゲ(巡礼者専用宿泊施設)で、「クレデンシャル」と呼ばれる巡礼手帳を発行してもらうことができます。デザインはさまざまですが、一般的には蛇腹式の薄い手帳。巡礼者はそこに、宿泊する村や町などのオリジナルのスタンプを集めます。そしてサンティアゴ・デ・コンポステーラへ到達したら、押印した手帳を大聖堂近くの巡礼事務所に提示し、「コンポステーラ」と呼ばれる巡礼証明書を申請できます。ただし、最低でもサンティアゴまでの巡礼路を100km以上を歩いていなければなりません(馬の場合も100km以上、自転車の場合は200km以上)。巡礼手帳は、日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会でも入手できます。
・ 日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会
URL: http://camino-de-santiago.jp
・ サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼事務所
C/Villar, 1 TEL
+34.981.562.419 毎日9~21時
●
サンティアゴまでの100kmってどこ?
どこから歩き始めても良い巡礼ですが、サンティアゴまでの100kmを歩く場合、サンティアゴ・デ・コンポステーラから約120km地点のサリア(Sarria)や、マドリッドからの交通の便が良いレオン(Leon)をスタート地点すると良いでしょう。
【サリアへのアクセス】
マドリッドから直行の夜行列車が1日1本22:10発(翌朝6時着、www.renfe.es)。バスは、マドリッドからルゴへ行き(約2時間に1本、所要6時間 www.alsa.es)、ルゴからサリア行きへ乗り換え(1~2時間に1本、所要35分 www.monbus.es)。
【レオンへのアクセス】
マドリッドから列車が1日約8本、所要3時間/4時間半(www.renfe.es)。バスは約2時間に1本、所要3時間半(www.alsa.es)。
●
フランスルートの地形と気候は?
スペイン北東部のピレネー山脈から、北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラまで、スペイン北部内陸部を横断するフランスルート。ピレネー山脈を下ると、カスティーヤ・イ・レオン州(ブルゴスやレオンなど)の平地。内陸性の気候のため、乾燥し、冬は寒く、夏はさんさんと降り注ぐスペインの熱い日差しをさえぎる建物がない道も多いのがこの地域。またカスティーヤ・イ・レオン州とガリシア州の州境には、有名なセブレイロ峠越えがあります。ガリシア州は、「グリーンスペイン」と呼ばれるスペイン北部4州のうちの一つで、比較的雨が多い地方。一時的な大雨より、しとしとと降り続くことが多いため、雨具は必須です。巡礼に適しているのは、5月〜10月前後。7月・8月は暑くなるため、早朝から昼にかけて歩くのが一般的です。
フランスルートの主な町の気温表
●
1日に歩く距離は?
巡礼情報を掲載しているウェブサイトや書籍によっても、区間の区切り方はさまざまですが、1日に歩く距離は平均25kmが目安と言われます。高低差がある区間か平坦な区間かによっても異なり、個人の体力によっても差がありますので、あくまでもご参考まで。大切なのは、無理なく毎日歩き続けることです。
● サンティアゴ大聖堂での伝統儀式 三か条!
第1条: 5本指祈願
*
ロマネスク様式の最高傑作とも言われる「栄光の門」を入ると、聖ヤコブ像が彫られた柱があります。この柱の前でひざまずき、柱に右手の5本指を置き、三つの願いを唱えるのが伝統となっています。5本指の形にくぼんだその石柱が、サンティアゴ大聖堂の歴史の重みを感じさせます。
第2条:
3度の頭突き
*
第1条の柱の裏側にある像は、有名彫刻家マエストロ・マテオの作品だと考えられています。ここに三度頭をぶつけることで、彼のような博識と才能を得られると言い伝えられています。
第3条:
聖ヤコブの抱擁
大聖堂の奥にある中央祭壇の中央には、マエストロ・マテオ作の聖ヤコブ像がまつられています。この聖像の背後から聖ヤコブに抱擁をささげます。
* 現在栄光の門は修復中につき、柱に触れることができません。修復の終了時期は未定です。
●
交通
【サンティアゴへのアクセス方法】
列車・バス:マドリッドから普通列車または夜行列車で7~9時間。www.renfe.es
マドリッドからバスで8~10時間(1日4~5本) www.alsa.es
ビゴからバスまたは列車で1時間半(各1時間に1本) www.monbus.es
飛行機:マドリッドから1時間(1日4~5便)、バルセロナから1時間半(1~2便)、
ビルバオから1時間(1便)。
【巡礼路の主なバス時刻表】
「サンティアゴ巡礼の道」の主なバス時刻表 (PDF)
●
巡礼者の推移
巡礼証明書を発行している巡礼事務局の統計によると、ヨーロッパ諸国からの巡礼者数が上位を占めるなか、日本人巡礼者の数は年々増加傾向にあり、2008年には前年比約26%増で、国別でも30位(アジア諸国ではキリスト教徒信者の多い韓国(915人)に次ぐ巡礼者数)。
注:(
)内は前年比
|
2006年
|
2007年
|
2008年
|
日本人巡礼者
|
282
|
327 (+16%)
|
412 (+26%)
|
全巡礼者
|
100,377
|
114,026 (+14%)
|
125,141 (+10%)
|
|