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* 伝統あるスペインのタイル産業
スペインはセラミックタイルの製造と利用において長い伝統を誇る国です。711年、イスラム教徒がスペイン南部から侵入して以来、イスラム教徒とキリスト教徒の間で、戦争、同盟などの長い歴史が15世紀まで続きました。
その結果として、アラブの商人や征服者たちが彼らの習慣や文化をスペインにもたらすことになり、そのひとつが陶芸技術で、その技術は次第に一般に普及していきました。セビリアにあるアルカサール(城)の大使の間、世界的に有名なグラナダのアルハンブラ宮殿、数多くの公共建造物、教会寺院などは、その証跡となっています。キリスト教徒のレコンキスタ (失地回復運動)の後も、アラブ芸術、建築の影響は、生き続けており、それとヨーロッパからの新しい文化の波が融合されることになりました。(ルネッサンス、バロック、モダニズム、アールヌーボー,
etc)
スペインのセラミックは、それらの様々な様式を程よく調和させました。今日のスペインのタイル産業は、この古代ペルシャに生まれた伝統を継承し、時の流れとともにそれを更に豊かにし、現代の要求、嗜好に適合させてきました。その発展の拠点は、主にスペインのレバンテ地方であり、さらにカタルーニャ、アンダルシア、及びカスティーリャ地方にも広がっています。現在では、220以上の工場、1万数千人の従業員、4億8500万平方mの年間生産量 (輸出2億3200万平方m。輸出額13億8700万ドルで売り上げ全体の51%)の数字が示すように、重要な産業に育っています。最も重要な産業に育っています。最も重要な生産地は、バレンシアの北70kmに位置するカステジョンです。そこにはオレンジに囲まれた肥沃な土地にタイル工場が林立する風景が広がっており、その近くに粘土の採掘場が見られます。
生産はバラエティーに富み、焼成方法として、シングルファイアリングとダブルファイアリング、材質として白土と赤土があり、オプションとして無釉、施釉があり、サイズとしては2cmから60cmぐらいまでで、形状も多岐に渡り、そのコンビネーションも無限です。
研究所及び専門デザイナーたちが技術的問題を改善する為に努力しており、スペインを通じて中近東から西洋にもたらされたこの産業の前衛としての地位を守る為に努力しています。伝統、原材料、専門技能、先進技術、そして洗練されたデザインなどが、スペインのタイル産業の柱といえるでしょう。
年間生産量4億8500万mは世界第2位の生産国であり、世界140ヶ国以上に輸出されています。輸出は、5大陸にわたり、多様な生活習慣、嗜好、使用方法のニーズに対応しています。
製品、スペック、用途が多様化していることもあって、建築家及びデザイナーは、セラミックの使用のバリエーションを広げつつあります。たとえば、公共スペース、工業及び商業ビル (インテリア及びエクステリア両方において)、また衛生規準が厳しい場所、つまり病院や食料品貯蔵庫などにおいても、セラミックは、最適であるといえるでしょう。
しかし、タイルが機能、実用性とともに高い装飾性の威力を発揮するのは住居建築です。価格が優先する低・中価格品から要求水準の高い高価格品まで、様々なニーズに応じることができます。通常のキッチン、バスルームの壁材としての使用のみでなく、それらの床材や、廊下、リビングルーム、寝室にまでセラミックの利用が広がってまいりました。壁、床タイルの使用はスペインにおいて非常にポピュラーであり、一人あたりの消費量は、世界で最も高い水準に達しています。
維持、管理の簡便さが外装材としての使用を促進し、住宅地の住居やレクリエーション施設においても、その特性から多くの可能性を秘めて利用されています。また、日本における今後のリゾート関連産業方面でのタイルの利用にも拍車をかけることでしょう。
スペインタイル産業は、世界に通用するモダンなスタイルを追求しているだけでなく、現在も、過ぎし良き時代の雰囲気を醸し出しています。スペインのタイル産業のバイタリティーは、前衛的且つデコラティブな傾向を生む創造性とスペイン的エッセンスを調和させうる長き伝統によって支えられています。
5億平方mのタイルは、豊かな生活と暮らしの質の向上を求める世界の人々へのスペイン産業の貢献といえるでしょう。
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