⇒左の府中の幼稚園
asahi.comのニュースに掲載されていました。 その記事を参考までに下記に。
府中市西原町の私立北山幼稚園で、ユニークな新園舎がほぼ出来上がった。デザインを手がけたのは、スペインの建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926)の研究者で、バルセロナ在住の建築家田中裕也さん(59)。モチーフとしたのは「卵」だ。
ガウディは代表作「サグラダ・ファミリア教会」や、曲線を駆使した建物「カサ・ミラ」など特異な造形で知られ、作品群は世界遺産に登録されている。田中さんはガウディの建築物を実測して図面制作を続けおり、今回は「子どもたちを包み込むような建物にしたい」との思いを込めたという。建物には柔らかな曲線を多く取り入れ、上空からは縦と横に置かれた二つの卵形に見える。
中は吹き抜けの鉄筋2階建て。1階も同じく卵形の教室で、約400平方メートルの「劇場」をイメージし、空間を仕切る壁はない。らせん階段でつながる2階も壁はなく、広いガラス窓から太陽の光が降り注ぐ。田中さんは「ガウディの建物も放物曲線やらせんが多い。角がないので子どもがぶつかっても安全です」と言う。
田中さんのデザインを元に設計した建築士の北嶋祥浩さん(49)は「スケッチを見たとき、建てられるかどうかぎりぎりだと思った」と振り返る。自身も大学在学中にスペインに留学し、田中さんのもとでガウディの建築を学んだ。「図面の作成は大変だったが、子どもたちにも職人さんの手作りのぬくもりが伝わる園舎になりました」
外壁は、ガウディも好んで使ったれんがにこだわり、スペインから12種を輸入した。強い地震でも崩れないよう実験を繰り返し、鉄骨のはりの上に載せて「耐震性は十分」という。屋根は特徴的な波形で、「サグラダ・ファミリア教会」付属小学校の屋根の形を取り入れた。
斬新な新園舎の建設は、園長の山縣迪子さん(64)が07年、滞在先のスペインで田中さんと出会ったことがきっかけだった。昭和40〜50年代に建てた園舎の改築を考えていた時期で、田中さんの提案に意気投合。田中さんは園児や先生たちとワークショップを開きながら、約2年をかけて構想を練った。
田中さんは「子どもたちは自在に園舎を使い、自由な発想を持ってほしい」。山縣園長は「建物全体が教具、遊具になるような園舎にしたかった。子どもには思う存分遊んで、走り回ってほしい」と話す。
隣接する現在の園舎から今月中に引っ越しを開始。細かな仕上げを待って、年明けから利用する予定だ。
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