スペイン 情報 & 観光 ニュースレター (2005   2月号)

『ドン・キホーテ』 刊行400周年記念

 今年2005年は、世界的に知られる騎士道物語『ドン・キホーテ』の初版が刊行されてから400年。これを記念して、この小説にゆかりの地、カスティーヤ-ラ・マンチャを中心にスペイン各地で記念行事が開催されます。

 スペインを代表する作家ミゲル・デ・セルバンテスは、マドリッドの東約30kmに位置する「アルカラ・デ・エナーレス」にて生まれました。近代小説の出発点ともなったと言われるこの作品の初版(前編)が1605年に発表されると、その後世界中に翻訳され、現在も広く読み次がれている不朽の名作です。  

 物語は、騎士道物語を読みすぎて自分を騎士と思い込んだ主人公ドン・キホーテが、悪を成敗しようと遍歴の旅に出るという話。舞台の中心となるのは内陸の赤茶けた広大な大地が広がるカスティーヤ-ラ・マンチャ。 ドン・キホーテが巨人と間違え戦いを挑んだ風車や、従士サンチョ・パンサを引き連れ歩いた土地には、今も彼らが立ち寄ったとされる村々が点在しています。

 2005年1年を通して行われるこの記念行事は、スペイン内外からのアーティストによる演劇、音楽祭、ロック、ポップコンサート、作家セルバンテスおよびドン・キホーテを様々な観点から紹介する出版物・展覧会などが企画されています。また、この小説にゆかりのある地、カスティーヤ‐ラ・マンチャ(トレド、シウダッド・レアル、アルバセテ、クエンカ、グアダラハラ)州内の145ヶ所の市町村、約2,500kmを結ぶ「ドン・キホーテ・ルート」も用意されています。400年前の趣が多く残るこの地をこの本を片手に訪ねてみる絶好の機会です。

記念行事の詳しい情報は下記のホームページに掲載されています。 http://www.donquijotedelamancha2005.com

ドン・キホーテにゆかりのある村をいくつかご紹介いたします。


ベルモンテ ドン・キホーテとサンチョ・パンサが食事のために立ち寄った村と言われています。村には国の文化財に指定されているベルモンテ城があります。

エル・トボソ ドン・キホーテの思い姫ドゥルシネアが住んでいた村です。白壁の家並みは当時と変わらず、ドゥルシネアの家も残されています。これは虚構と現実がみごとに入り混じってしまい、結局、名作が村の生活に深く浸透している証拠です。ここにあるドン・キホーテ図書館には数ヶ国語に訳されたドン・キホーテの本が集められています。

カンポ・デ・クリプターナ 「逃げるな、臆病者め!」と叫びながら、巨人だと思い込んでしまった風車の群れに突進する主人公。あの有名なシーンはここで繰り広げられたとされています。物語には30から40の風車があったと記述されていますが、現在では10基。いかにもドン・キホーテの世界らしい趣があります。

モタ・デル・クエルボ ここからほど近い森でドン・キホーテは「鏡の騎士」と戦ったとされています。風車の丘にはラ・マンチャの風情を象徴する風車の群れがあります。

プエルト・ラピセ この村にある旅籠屋でドン・キホーテが騎士の称号を受ける儀式が行われたとされています。一方、作者セルバンテスがよく宿泊したという旅籠屋が今も残っており、現在はレストランになっていて、ここを訪れる人に人気です。

(レストラン:La Venta de Don Quijote

アルガマシーヤ・デ・アルバ ドン・キホーテの冒頭  「名は思い出したくないが、ラ・マンチャのある所に・・・」とありますが、この村がその「村」だと言われています。つまりドン・キホーテの生まれ故郷ということです。セルバンテスが投獄生活をおくった牢獄、「セルバンテスの洞窟」が「メドラノの家」の中に今でも残っています。


  バルセロナ・ガストロノミーイヤー

  2005年3月から2006年3月までの1年間、バルセロナを中心とするカタルーニャ地方の『食』をテーマにした“バルセロナ・ガストロノミーイヤー”が開催されます。

 スペイン北東部のカタルーニャ地方には、今や世界的に有名となったミシュランの三ツ星レストラン『エル・ブジ』をはじめ、昨年、東京の“コレド日本橋”に支店をオープンしたレストラン『サン・パウ』の本店など、現代スペインを代表するレストランがあり、世界のグルメファンの大きな注目を集めています。日本でも新スペイン料理が紹介され始めていますが、最近の傾向として、素材本来の味を生かした食材の斬新な組み合わせ、独創性、そしてその美しいプレゼンテーションが大きな話題を呼んでいます。

  ガストロノミーイヤー期間中に企画されているイベントには、特産物展、見本市、コングレス、国際シンポジウム、ガストロノミー・ルートの設定、記念書籍の出版、ワインやカバ(カタルーニャのスパークリングワイン)の試飲、街頭や市場においての料理のデモンストレーション、料理教室、料理職人のコンクール、展覧会などがあります。その中には業界関係者だけでなく一般の方々向けにカタルーニャ地方の特産物を紹介する大規模な食品・飲料展“ALIMENTARIA”や、チョコレート展なども予定されています。さらに、バルセロナ市主催・バルセロナ観光局協賛による一連のイベントの一環として、市内の約1万店を越えるレストランの多くで、特別メニューが供される予定となっています。

  今回のイベントの重要なステージの一つとなるのが、バルセロナ市内各地の市場です。各市場ではカタルーニャの旬の素材を月替りで紹介し、それらの食材を使った郷土料理などを披露します。 3月であれば「オソナ地区」の豚肉やトリュフ、7月は「エブロ川流域」の特産物、9月はきのこ料理を中心とした「ベルゲダ地区」の特産物など、月毎に旬の食材を取り上げると共にその地域の郷土料理を紹介していきます。また、スパニッシュ・オムレツ(トルティーヤ)のコンクールや、タラ料理、チョコレートケーキ作りの実演もあります。同時に世界の食の専門家・料理人を招いての料理デモンストレーションや試食も設けられます。

 

  さらに、バルセロナ市内で開催される従来の祭事に絡めたイベントも多く、6月24日の「聖フアンの日」の前夜祭にはモンジュイックにて1,000本を越えるカバ(スパークリングワイン)が一斉に開けられます。9月の「メルセド祭」の時期には街頭にてのカタルーニャの伝統料理やワインの試食、この時期に食べ継がれてきた伝統料理の紹介が行われます。また、サフランの収穫期にあたる10月には「サフラン・フェスティバル」が予定されています。サフランの収穫から香辛料になるまでの行程を紹介し、サフランを使った様々な料理が披露されます。11月にはその年にできたばかりのワインを各醸造所にて試飲するワインフェスティバルなども企画されています。

 

  このイベント開催期間中、一年を通じて100を越えるイベントが企画されていますが、その内容は多岐にわたり、子供から大人まで、そして地元市民から観光客まで、だれもが気軽にバルセロナの食文化に触れることができるように考案されています。これらのイベントは市内の見本市会場から市場、レストラン、美術館、コンサートホールなど市内各所にて開催されます。

 

 

 

  バルセロナの豊かな食文化は、ガウディの建築物やゴシック地区の町並み、モデルニズム建築、ピカソやミロ美術館と同様に多くの観光客を惹き付ける魅力の一つとなっています。実際に、バルセロナの台所と言われる「ボケリア市場」の来場観光客数は1日2,500人で、この数はピカソ美術館の来場者数に匹敵します。

 

  海の幸山の幸に恵まれた地中海料理を堪能するまたとない機会です。今年のバルセロナは「食」をテーマに訪れてみてはいかがでしょうか。きっと新しい発見があるはずです。

 

  現在プログラムは作成中ですが、現段階で発表されている主な一部をご紹介致します。バルセロナ・ガストロノミーイヤーは一年にわたる為、全てのプログラムをご紹介出来ませんが、ホームページに随時新しいニュースを含め詳しいプログラムが掲載されていますので、是非アクセスしてみてください。          www.barcelonaturisme.com

 

 

2005月に予定されているイベント

 

【火を操る天才の料理】― スペインを代表するシェフの腕と職人技を紹介する展覧会

会場:「Palau Robert

 

【旬の素材/郷土料理】― 各地方の旬の食材を取り上げて紹介するシリーズで、3月はオソナ地方の豚肉とトリュフ。   会場:市内の市場にて

 

【ラ・モナ・デ・コロン】― 「コロンブスの塔」周辺に開催される聖週間(イースター)を祝う祭り。様々なイベントの中の一つで、聖週間の時期にこの地域で食される、パンとオリーブオイルとチョコレートで出来たお菓子の試食会。  会場:「ポルタル・デ・ラ・パウ」

 

【シェフ・オブ・ザ・イヤー】― スペイン全土から集まった約60,000人のシェフがその腕を競うコンクール。その中から2005年最優秀シェフを選びます。 場所:未定

 

【ウォーキング・ツアー】― ガストロノミー・ルートの「シウタット・ベーリャ地区」にあるお店やバルセロナの食文化を代表する場所などを、プロのガイド付きで周ります。 場所:市内

 

【ビック・ガストロノミーフォーラム】― バルセロナ郊外の町ビックにて開催される食産業展、ワインフォーラムも同時開催。 会場:「ビック見本市会場(El Sucre)」

 

 

また文中にご紹介しました著名レストランの情報は下記のホームページでご覧いただけます。

     『エル・ブジ』 www.elbulli.com 

     『サン・パウ』 www.santpau.jp


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