『観光と情報』 Feb. 2006号 《2006年、コロンブス没後500周年》 1506年5月20日、マドリッドの北約200kmにある町バヤドリッドで波乱に満ちた人生の幕を閉じたコロンブス。2006年は彼の死から500年を迎えます。コロンブスの記念碑はスペインの多くの都市に設けられていますが、なかでもコロンブスに縁の深いのがアンダルシア西部のウエルバ県。ここでは巨大な「コロンブス記念碑」、コロンブスが使った3隻の船のレプリカがある「カラベラス埠頭」、そして実際に出航前夜に宿泊した「ラ・ラビダ修道院」など、偉大なコロンブスの史跡を見学できます。ウエルバはセビーヤから車で約1時間半とアクセスも良く、今年注目を集めています。 ここでは彼の略歴にあわせて、コロンブスに縁のある観光名所の一部をご紹介します。下線部の観光名所に関しては、各々次頁の説明を参照下さい。また、記念イベントなどの情報は、発表され次第、随時お伝えしていく予定です。 ● コロンブスの略歴 ● コロンブスの出生は数多い謎の一つですが、1451年イタリア・ジェノバに生まれたとされ、やがて船商人となりリスボンに移住したという説が一般的です。アフリカ大陸南端を通ってアジアへ航海していたこの時代、コロンブスは西廻りで日本を目指す航路を考えます。当時のポルトガル国王にこの案を打診しますが、有識者たちによって計画は否定されてしまいます。そしてポルトガル人の妻が亡くなるのを機に、コロンブスは船でスペインへと渡ります。 1484年〜1485年の初頭、スペイン南西部ウエルバ県のパロス・デ・ラ・フロンテーラに着いたコロンブスと息子のディエゴは、パロス・デ・ラ・フロンテーラの町から3kmほどにあるラ・ラビダ修道院(1)に庇護を求めます。そしてここの修道士たちの助けもあり、コロンブスは当時スペインを治めていたカトリック両王に航海案を提出することに成功します。最初に謁見を許されたのが、1486年、ドン・キホーテの作者セルバンテスの生地でもあるマドリッド郊外のアルカラ・デ・エナーレス(2)の司教館であったと言われています。その後もスペイン各地を渡り歩きながら数度に渡ってスペイン各地で謁見を繰り返し、そして遂に1492年グラナダ郊外のサンタ・フェで航海への援助を取り付けます。カトリック両王がレコンキスタ(国土回復運動)でグラナダを奪回した直後であったのが幸を奏したとも言われています。 カトリック両王から「カスティーヤ提督」という称号と共にさまざまな援助を受けたコロンブス。パロス・デ・ラ・フロンテーラ出身の船乗りで、地元の仲間から絶大な信頼を寄せられていたマルティンA. ピンソン(3)、そしてその弟のビセンテ Y. ピンソンに2隻の船を任せ、出帆の準備を整えます。1492年8月3日の早朝、「サンタ・マリア号」、「ピンタ号」、「ラ・ニーニャ号」の3隻(4)を従えたコロンブスは、ラ・ラビダ修道院(1)でのミサに参列し、パロス・デ・ラ・フロンテーラを出航。そしてカナリア諸島のグラン・カナリア島(5)とゴメラ島に立ち寄り、現地の人々の暖かい歓迎のもと船の修復や食料を調達すると、1492年9月6日、ゴメラ島から一途大西洋横断への航海に出発しました。そして同年10月12日、現在のサン・サルバドール島(バハマ諸島の一島)にたどり着き、歴史に名を残すこととなりました。コロンブスはその後も数度に渡ってアメリカ大陸への航海に出ますが、1506年5月20日、スペイン中央部のバヤドリッド(6)でこの世を去ります。 現在、コロンブスの棺はセビーヤの大聖堂(7)に収められています。また、ウエルバ市の海岸には、海を臨む巨大なコロンブス記念碑(8)、そしてパロス・デ・ラ・フロンテーラにはカラベラス埠頭(9)という名のコロンブスのテーマパークが設けられています。また、マドリッド(4)やバルセロナ(10)をはじめ、グラナダ(11)や コルドバ(12)などスペイン各地に彼を称える塔や像が設けられています。 略歴文中の観光名所紹介 1.ラ・ラビダ修道院 (ウエルバ県 パロス・デ・ラ・フロンテーラ) www.monasteriodelarabida.com パロス・デ・ラ・フロンテーラ郊外、約3km 住所:21819 La Rabida. Palos de la Frontera (Huelva) TEL:+34.959.35.0411 FAX:+34.959.65.6041 E-mail:info@monasteriodelarabida.com 見学時間:火~土 10:00~13:00/16:00~18:15 料金:グループ(20人以上):1.5ユーロ / オーディオガイド付(要予約)3ユーロ 個人:ガイド付見学2.5ユーロ(45分間毎) / オーディオガイドでの自由見学 5.5ユーロ 2.アルカラ・デ・エナーレス www.ayto-alcaladehenares.es マドリッドから北東に約30Kmの町で、セルバンテスの生家博物館や大学など見どころが豊富。また、教会が多く、地理条件も整っているため、「コウノトリ」が多いことでも有名。司教館の内部見学は不可。 3.マルティン・ピンソンの家博物館 (ウエルバ県 パロス・デ・ラ・フロンテーラ) www.palosfrontera.com 住所:C/ Colon, 24 21810 Palos de la Frontera (Huelva) TEL: +34.959.35.0199 開館時間:月~金10:00~14:00 閉館:土・日 料金:無料 4.コロンブスの塔、コロンブスの船のオブジェ、ヘノバ(ジェノバ)通り (マドリッド市) www.esmadrid.org マドリッド市を南北に走るカステヤーナ大通り沿いのコロン広場。広場にはコロンブスの塔、そして航海に使われた3艘の船をイメージした大きなオブジェが置かれている。またコロン広場から西に延びる大通りは、「ヘノバ通り」と名付けられている(スペイン語で「ジェノバ」の意)。 5.コロンブスの家博物館(グラン・カナリア島 ラス・パルマス市) www.grancanariacultura.com 住所:C/ Colon, 1 35001 Las Palmas de Gran Canaria TEL: +34.927.312.373 FAX: +34.928.331.156 E-mail: casacolon@grancanaria.com 開館時間:月〜金 09:00~19:00 / 土・日 09:00~15:00 閉館:5/22、12/24、12/31 6.コロンブスの家博物館(バヤドリッド市) www.fmcva.org (西語) 住所:C/ Colon, s/n 47005 Valladolid TEL: +34.983.291.353 FAX: +34.983.426.254 開館時間: 火~土 10:00~14:00/17:00~19:00 (夏季の午後は18:00~20:00) 日 10:00~14:00 閉館:月・祝 料金:無料 7.セビーヤの大聖堂 www.catedralsevilla.org 住所:Plaza Virgen de los Reyes, Sevilla TEL: +34.954.214.971 FAX: +34.954.228.432 見学時間:7月・8月 月〜土 09:30~15:30 / 日・祝 14:30~18:00 その他の期間 月~土 11:00~17:00 / 日・祝 14:30〜18:00 料金:7ユーロ (日曜無料) (注: 実際のコロンブス遺体の有無には現在、諸説あります) 8.コロンブス記念碑 (ウエルバ市) www.diphuelva.es ウエルバ市の中心部から2kmほど離れた海辺にそびえる高さ37mの巨大な像。ウエルバのシンボルであり、コロンブスの史跡巡りには欠かせない。 9.カラベラス埠頭 (ウエルバ県パロス・デ・ラ・フロンテーラ) www.diphuelva.es パロス・デ・ラ・フロンテーラ郊外、約3km。コロンブスのテーマパークとなっており、海に浮かぶ3隻の船のレプリカが最大の目玉。また当時の町並を再現した「中世地区」やコロンブスを紹介するビデオを上映している。 住所:Paraje de La Rabida, s/n Palos de la Frontera (Huelva) TEL: +34.959.53.0597 FAX: +34.959.53.0565 E-mail: carabelas@diphuelva.es 開園時間:6~9月 火~金 10:00~14:00/17:00~21:00 土・日・祝 11:00~20:00 10~5月 火~金 10:00~19:00 料金:大人3.2ユーロ 学生・グループ(20人以上) 1.35ユーロ 10.バルセロナ www.barcelonaturisme.com ランブラス通りの海側の広場にある高さ60mの「コロンブスの塔」展望台。塔の上部には、海の方向を指差すコロンブスの像が掲げられている。塔内部のエレベーターで展望台へ上ると、バルセロナのパノラマを堪能できる。 営業時間:10月~5月 毎日 10:00~18:30 / 6月~9月 毎日 09:00~20:30 クローズ:1/1、10/12、12/25、12/26 料金:大人 2.3ユーロ / 小人 1.5ユーロ / 15人以上のグループ 1.9ユーロ(要予約) 11.グラナダ www.turismodegranada.org 大聖堂近く、噴水のある「カトリック女王イサベル広場」には、コロンブスがイサベル女王に謁見している像が置かれている。 12.コルドバ www.turiscordoba.es コルドバのアルカーサルはコロンブスがカトリック両王と謁見を果たした場所の一つの。庭園内にはコロンブスとカトリック両王の像がある。 ご存知ですか、「ラ・ニーニャ号」の名の由来 「ラ・ニーニャ」とはスペイン語で「女の子」の意味。そこから取られた名前だと思われがちですが、「ラ・ニーニャ号」は当初、造船されたモゲールの町にあるサンタ・クララ修道院の名を取って、「サンタ・クララ号」と命名されました。その後、実際に造船を手がけた「ニーニョ家」の名を女性名詞(スペイン語で「船」は女性名詞)にして「ラ・ニーニャ号」と呼ばれるようになったと言われています。 ************************************************************************* 《グラナダのパラドール、今夏にも改修工事開始》 工事期間中、部屋数が半減 アルハンブラ宮殿内にある15世紀の修道院を4つ星ホテルに改装した、大人気のグラナダのパラドール。このパラドールを5つ星にグレードアップするため、900万ユーロ(およそ12億円)を費やす大掛かりな改修工事が行われます。着工は2006年7月、完成は2008年4月の見込み。建物を半分ずつ工事することでパラドールのクローズは回避されますが、工事期間中、予約可能な部屋数は半減されます(改修前の現在の部屋数は36)。 パラドール日本総代理店:イベロ・ジャパン 〒113-0033 東京都文京区本郷4-13-7 マコービル2F TEL.: 03-5840-5640 FAX: 03-5840-5641 URL: http://www.ibero-japan.co.jp E-MAIL: iberojapan@hola-espana.co.jp 《闘牛シーズン開幕》 シーズン開始 その他、祭りに伴い毎日開催される闘牛 マドリッド・ラス・ ベンタス闘牛場 2006年3月12日〜 毎週日曜日 フェリア・デ・コムニダ 4/29〜5/2 闘牛祭 5/10〜6/2 フェリア・デ・オトーニョ 9/30、10/1、10/7、10/8(予定) バルセロナ・ モヌメンタル闘牛場 4月中旬(予定) ―― ************************************************************************* 《マドリッド・バラハス空港に新ターミナルT4完成》 これまでの3つのターミナルの北部、少し離れた場所に、新しいターミナル「T4」が誕生し、同時に2本の滑走路、駐車場、空港周辺道路などの設備が追加されました。この新ターミナルの完成で、マドリッド・バラハス空港は、1時間当たりの航空機発着回数が78(最高で120)、そしてこれまでの2倍にあたる年間7千万人以上の航空旅客数に対応できる、巨大な空港に生まれ変わりました。チェックインや荷物の受け取りがよりスムーズになると同時に、ヨーロッパから南米へのハブ空港としての役割も大きくなると期待されています。(現在ヨーロッパ-南米線の25%がマドリッド発着)。 自然光をふんだんに取り入れたこの新ターミナルは、スペイン国内外で活躍する建築会社エストゥディオ・ラメラ(Estudio Lamela)と、イギリスのリチャード・ロジャーズ・パートナーシップが手がけた斬新な作品で、T4とT4sの2つの建物から成ります。T4は、チェックインカウンター、手荷物検査、荷物引取り所、そして搭乗ゲートが設けられているメインターミナル。そして2km離れたT4sは、パスポートコントロールと搭乗ゲートが設置されたT4に付属する建物です。これら2つの建物は全自動運行電車(APM)で結ばれています。 この新ターミナルの完成により、航空会社によっては発着ターミナルが変更となります。また、市内からの空港バスも1路線増設されたほか、T4とその他のターミナルを結ぶターミナル間連絡バス(無料)が設けられました。マドリッド・バラハス空港を含むスペイン各空港案内は、下記HPをご参照下さい。 www.aena.es 空港へのアクセス バス 200番線 空港 T1、T2、T3 ⇔ アベニダ・デ・アメリカ・バスターミナル 204番線 空港 T4 ⇔ アベニダ・デ・アメリカ・バスターミナル 地下鉄 8番線 AEROPUERTO駅 T2直結 8番線 BARAJAS駅 T4発着のバス運行有 空港内での移動 ターミナル間連絡バス 4つのターミナルを3分間隔で巡回。無料。 AMP (T4⇔T4s) 2分間隔(ピーク時)で24時間運行の全自動運行電車。所要時間約4分。 主な航空会社の発着ターミナル T1 T2 T3 T4 AIR EUROPA (1) AIR EUROPA (2) AEROFLOT AIR FRANCE SPANAIR (2) BRITISH AIRWAYS ALITALIA TAP AIR PORTUGAL ――― FINNAIR AUSTRIAN AIRLINES IBERIA KLM IBERWORLD LUFTHANSA JAPAN AIRLINES SCANDINAVIAN SAS (1) シェンゲン条約加盟国以外の国際線 SPANAIR (1) (2) 国内線とシェンゲン条約加盟国への国際線 SWISS |